ウイスキーの記事や商品説明には、見慣れない言葉がよく出てきます。このページでは、初心者がつまずきやすい用語を55語集めて、できるだけ噛み砕いて説明しました。
意味がわかると、売り場のラベルから読み取れる情報が一気に増えます。知りたい言葉があれば、下の目次から探してみてください。
ラベルに書かれている言葉 / 造り方に関する言葉 / 樽に関する言葉 / 香りと味を表す言葉 / 飲み方に関する言葉 / 産地に関する言葉
🏷 ラベルに書かれている言葉
ボトルを手に取ったときに目に入る表示です。
- シングルモルト(single malt)
- 単一の蒸溜所で、大麦麦芽だけを原料に造られたウイスキー。蒸溜所ごとの個性がそのまま出ます。詳しくはシングルモルトとブレンデッドの違いで解説しています。
- ブレンデッド(blended)
- 複数の蒸溜所のモルト原酒とグレーン原酒を調合したウイスキー。流通量が多く、味が安定しているのが特徴です。
- シングルグレーン(single grain)
- トウモロコシや小麦を主原料に、単一蒸溜所で造られたウイスキー。軽やかでクセが少ない。
- ブレンデッドモルト(blended malt)
- 複数蒸溜所のモルト原酒だけを混ぜたもの。グレーンを含みません。以前は「ピュアモルト」と呼ばれていました。
- NAS(ノン・エイジ・ステートメント)
- 年数表記のないボトルのこと。熟成原酒の不足やブレンドの自由度を理由に近年増えています。熟成年数表記の意味もあわせてどうぞ。
- カスクストレングス(cask strength)
- 加水せず、樽から出したままの度数で瓶詰めしたもの。50〜60%台になることが多い。
- シングルカスク(single cask)
- たった一つの樽から瓶詰めしたボトル。樽ごとの個性が出るため、同じ銘柄でも味が異なります。
- ノンチルフィルタード(non-chill filtered)
- 冷却濾過をしていないという表示。旨味成分が残る反面、冷やすと白く濁ることがあります。
- 着色料無添加(natural colour)
- カラメル色素で色を調整していないという表示。樽由来のそのままの色ということ。
- オフィシャルボトル(OB)
- 蒸溜所自身が瓶詰めして出す、いわゆる正規品。
- ボトラーズボトル(IB)
- 独立系の瓶詰業者が樽を買い付けて瓶詰めしたもの。同じ蒸溜所でも公式とは違う表情になります。
⚙ 造り方に関する言葉
製造工程を知ると、味の違いの理由が見えてきます。
- 製麦(せいばく/モルティング)
- 大麦を発芽させて麦芽にする工程。ここで糖化に必要な酵素が生まれます。
- ピート(peat)
- ヒースやコケが堆積してできた泥炭。麦芽を乾かすときに焚くと、独特の煙の香りがつきます。ピート香とはで詳しく扱っています。
- 糖化(とうか/マッシング)
- 砕いた麦芽を温水と混ぜ、デンプンを糖に変える工程。できた甘い液体を麦汁と呼びます。
- 発酵(はっこう/ファーメンテーション)
- 麦汁に酵母を加えて糖をアルコールに変える工程。この段階の液体はビールに近い味わいです。
- 蒸留(じょうりゅう)
- アルコールを煮沸して濃縮する工程。スコッチは2回、アイリッシュは3回が伝統的です。
- ポットスチル(pot still)
- 銅製の単式蒸留器。形や大きさが酒質を左右するため、蒸溜所ごとにこだわりがあります。
- 連続式蒸留器(コラムスチル)
- 効率よく高純度のアルコールを得られる蒸留器。グレーンウイスキーはこちらで造られます。
- ニューポット(new make)
- 蒸留したての無色透明な液体。まだ樽に入れる前の状態です。
- 熟成(じゅくせい/マチュレーション)
- 木樽で寝かせる工程。琥珀色と複雑な香味はここで生まれます。スコッチは最低3年と定められています。
- 天使の分け前(エンジェルズシェア)
- 熟成中に毎年2〜4%ほど蒸発してしまう分のこと。長期熟成品が高価な理由の一つです。
- 仕込み水(しこみみず)
- 製造に使う水。軟水か硬水か、どんな地層を通ってきたかで酒質が変わります。
🛢 樽に関する言葉
香味の大部分は樽で決まります。
- バーボン樽(バレル/約180L)
- バーボンの熟成に一度使われたアメリカンオークの樽。バニラや蜂蜜の甘い香りをもたらします。
- シェリー樽(シェリーカスク)
- シェリー酒の熟成に使われた樽。ドライフルーツやチョコレートのような濃厚な甘みが出ます。マッカランが代表格です。
- ホグスヘッド(約230L)
- バーボン樽を組み直して一回り大きくした樽。スコッチで最も多く使われるサイズです。
- パンチョン(約480L)
- 大型の樽。容量が大きいぶん樽の影響がゆるやかで、熟成はゆっくり進みます。
- バット(シェリーバット/約480L)
- シェリー熟成に使われる大型樽。
- クォーターカスク(約50L)
- 通常の1/4サイズの小樽。液体と樽の接触面積が増えるため、熟成が早く進みます。
- ミズナラ樽(Japanese oak)
- 日本産のミズナラで造る樽。伽羅や白檀を思わせる東洋的な香りが出るとして世界的に注目されています。ジャパニーズウイスキーの歴史もどうぞ。
- チャー(char)
- 樽の内側を強く焦がすこと。バーボンでは新樽を焦がすことが法律で定められています。
- フィニッシュ(後熟/ウッドフィニッシュ)
- 熟成の最後に別の樽へ移し替えること。ラム樽やワイン樽で仕上げると新しい表情が加わります。
👃 香りと味を表す言葉
テイスティングノートを読むときに必要になります。
- フェノール値(ppm)
- 麦芽に含まれるフェノール化合物の濃度で、ピートの強さの目安になります。ノンピートは0〜5ppm、ヘビーピートは40ppmを超えます。
- スモーキー(smoky)
- 燻製や焚き火を思わせる香り。ピートを焚いた麦芽に由来します。
- ヨード香(iodine)
- 磯や消毒液を思わせる独特の香り。ラフロイグなどアイラ島のウイスキーで強く出ます。
- エステル(ester)
- 発酵と熟成で生まれる香気成分。リンゴや洋梨のようなフルーティさの正体です。
- ボディ(body)
- 口に含んだときの重さ・厚み。「ライトボディ」「フルボディ」のように使います。
- フィニッシュ(余韻)
- 飲み込んだあとに口に残る香味とその長さ。長いほど複雑と評価されることが多い。
- テイスティングノート(tasting note)
- 色・香り・味・余韻を言葉にした記録。メーカーが公式に出しているものもあります。
- モルティー(malty)
- 麦の香ばしさ、ビスケットのような風味を指す表現。
🥃 飲み方に関する言葉
バーで注文するときにも使えます。
- ストレート(ニート)
- 何も加えずそのまま飲む方法。香りと味を最も濃く感じられます。飲み方5選で比較しています。
- ロック(オン・ザ・ロック)
- 氷を入れて飲む方法。時間とともに薄まり、味が変化していくのが楽しみどころ。
- 水割り(みずわり)
- ウイスキー1に対して水2〜2.5で割る、日本で発達した飲み方。和食との相性が抜群です。水割りの作り方もどうぞ。
- ハイボール(highball)
- 炭酸水で割ったもの。黄金比は1:4とされます。ハイボールの黄金比で詳しく解説しています。
- トワイスアップ(twice up)
- 常温の水を同量加える方法。香りが開くため、テイスティングでよく使われます。
- ハーフロック(half rock)
- ロックにウイスキーと同量の水を足したもの。日本のバーで生まれたスタイルです。
- チェイサー(chaser)
- 合間に飲む水のこと。味覚をリセットし、悪酔いを防ぐ役割があります。
- ミスト(mist)
- クラッシュドアイスを詰めたグラスに注ぐ飲み方。夏向き。
- グレンケアン(Glencairn glass)
- ウイスキー専用に設計されたチューリップ型のテイスティンググラス。グラスの選び方で紹介しています。
🌍 産地に関する言葉
産地がわかると銘柄選びが早くなります。
- スコッチ(Scotch)
- スコットランドで造られ、3年以上熟成されたウイスキー。6つの産地それぞれに個性があります。
- アイラ(Islay)
- スコットランド西方の島。強烈なピート香で知られ、熱狂的なファンが多い産地です。
- スペイサイド(Speyside)
- スコットランドの蒸溜所が最も集中する地域。フルーティで華やかな酒質が特徴。
- バーボン(Bourbon)
- 原料の51%以上がトウモロコシで、内側を焦がした新樽で熟成させたアメリカのウイスキー。テネシーとの違いも解説しています。
- アイリッシュ(Irish)
- アイルランドのウイスキー。3回蒸留が伝統で、なめらかな口当たりが特徴です。代表銘柄はこちら。
- ジャパニーズウイスキー(Japanese)
- 日本洋酒酒造組合の自主基準(2021年制定・2024年4月完全適用)で、国内での仕込み・蒸留・3年以上の熟成などが要件とされています。法律ではなく業界の取り決めです。
- 世界5大ウイスキー
- スコッチ・アイリッシュ・アメリカン・カナディアン・ジャパニーズの5分類。ウイスキーとはで概観できます。
もっと詳しく知りたいときは
用語の背景まで踏み込んだ記事も用意しています。
※用語の定義は一般的に共有されている説明にもとづいています。国や生産者によって扱いが異なる場合があります。